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若手アニメーターを育成するプロジェクト『あにめたまご2017』から4作品上映!松本悟さん、神楽千歌さんがトークショーを開催

2018年10月14日(日) レポート

10月14日(日)、元淳風小学校にて『あにめたまご2017』の4作品が上映され、上映前の舞台挨拶に『あにめたまご2019』チーフ・松本悟さん、声優の神楽千歌さんが登壇しました。司会進行をはりけ~んず・前田が担当しました。

まずは、松本さんから『あにめたまご』について説明がありました。『あにめたまご』とは、文化庁から委託を受けて、日本のアニメクリエイティブの振興と向上を目的にオン・ジョブ・トレーニングを通して業界の将来を担う優れた若手アニメーター等を育成するプロジェクトのこと。
平成22年から始まり、毎年さまざまなアニメ制作プロダクションからオリジナルの企画を公募。その中から選ばれた4社のプロダクションが、アニメーション作品を制作するという取り組みです。それぞれ1社あたり、6~7名の新人アニメーターが参加し、作家や監督、制作関係者に付いてもらいながらスキルを身につけるというもの。若手アニメーターのスキルを育むだけでなく、アニメーターの制作環境、プロダクションの管理体制にも重きを置いているのが特長です。

「いま、日本はアニメーターが育ちにくいといわれています」と松本さん。
アニメーターは、ただ絵が描ければいいというわけではなく、演技が表現できることも大切だと力説しました。「実写だと監督が俳優さんに演技指導をしますが、同じようにアニメーターも、キャラクターを自分で動かさないといけません。そうしたスキルを身につけていただくという意味も大きいですね」と意義を語ります。
続いてアニメーターの働く環境についても言及。「最近、アニメーターさんの給与が少ないと言われますが、この事業ではアニメーターさんに適正な給与をお支払いすることになっています。また、労働時間も1日8時間を越さない、という基準で作品を制作してもらっています」とのこと。
オリジナル作品という条件も、今後のアニメーション業界の発展を見据えたものだといいます。「原作を使ったアニメだと、原作の著作権の権利が対価として戻ってきません。そこで、プロダクションにオリジナルのアニメーションを制作してもらうことで、権利ビジネスの運用ができるというのも大きな目的になっています」と松本さん。
また、管理体制にも着目。声優さんがアニメーションに声を吹き込むアフレコの段階で、完成に近い作品を用意し、整った状態でアフレコをするのもこのプロジェクトのこだわりです。「アフレコの現場は、色も何もついていない絵コンテの状態でアフレコすることが多いのが現状です。しかし、このプロジェクトでは、管理体制が整った中で制作し、アフレコではオールカラーの完成品に近い状態で声優さんにアフレコしてもらっています」。はりけ~んず・前田が神楽さんに「声優さんの立場からしても、やはり完成品でアフレコするほうが気持ちも作りやすいですよね?」と尋ねてみると「そうですね。やりやすいと思います」と神楽さん。

神楽さんも、声優という立場から見た若手アニメーターの現状を明かしました。「私がよく聞くのは、収入面が大変だということ。アニメーターを目指して東京に出てきたものの、気持ちはあっても収入が持たなくて続けるのが難しい、という話はよく聞きます」と、リアルな声を届けます。松本さんは「学校を卒業して、いきなりアニメーターとしてお金を稼ぐのは難しい。どうしても腕を磨いてもらう時間は必要ですね」と現状を。
「下積みは、声優も同じですね」と神楽さん。声優も、若手の頃は「ガヤ」と呼ばれる雑踏などのガヤガヤした効果音から担当するそうで、「役名をもらえるようになるまでが大変」と声優の裏側を明かす一幕も。

最後に、舞台挨拶後に上映される『あにめたまご2017』の4作品の見どころを松本さんが解説。「2017年は、いろんな形で作られた作品が多い」と、バラエティに富んだ4作品が揃ったそうです。
『ちゃらんぽ島(ランド)の冒険』は、「音楽も付随して、キャラの動き、色合い、構成が見事にマッチングしています。そして、絵の美しさを楽しんでいただけたらと思います」と松本さん。
「テクニックを見てもらいたい」と話したのは、『RedAsh -GEARWORLD-』。3DCGと2Dハイブリット作品で、セルアニメで作ったような、手書きのアニメのような質感も出ているとのこと。『げんばのじょう-玄蕃之丞-』は、懐かしい気持ちになれるファンタジーな世界が楽しめる作品。『ずんだホライずん』は、原画を1万4,000万枚を使用した力作です。

若いアニメーターが育ちやすい環境作りを手がける『あにめたまご』は、神楽さんも「継続的にやってもらいたいですね」と笑顔。「私は、アニメは日本が誇れるコンテンツのひとつだと思っています。どの業界でもそうですが、若い才能は必ず必要ですし、『あにめたまご』が世に出るきっかけになると思います」と期待を込めて語りました。

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