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日本文化の伝統空間でアメリカンコメディの笑い声が響く!  『黄金期のアメリカ喜劇 #3「笑わぬ喜劇王バスター・キートン特集」』

2018年10月13日(土) レポート

10月13日(金)、大江能楽堂で『黄金期のアメリカ喜劇 #3「笑わぬ喜劇王バスター・キートン特集」』が上映されました。前日より続く特集のトリを飾るテーマは、バスター・キートン。チャールズ・チャップリンやハロルド・ロイドと並んで「世界の三大喜劇王」と称される人物です。彼の魅力を活弁付きの映画上映と、劇映画研究会代表・新野敏也さんの解説で堪能します。

MCを担当する清水圭は舞台の中心へ進むと、来場者のリピート率をチェックします。お初の方がいらっしゃるのを確認すると、1908年に創建された大江能楽堂紹介。同じ年にデヴィッド・リーン監督、俳優のジェームズ・ススチュアート、女優のベティ・デイヴィスら映画の偉人が誕生したプチ情報などを語りました。

そして清水は、「伝統と由緒のある大江能楽堂でアメリカのコメディをご覧いただきたいと思います」とちょっぴりシュールなシチュエーションの面白さを述べ、出演者の活弁士の山崎バニラさん、新野敏也さんが呼び込まれました。

今回の上映作品は、『荒武者キートン』。1830年代のメリカ南部を舞台に、因縁に縛られた2家族の争いと、禁断のロマンスを描きます。本作公開時の1923年は、“喜劇映画の黄金時代”絶頂期。当時はハリウッド映画が主流で、「世界のスクリーンにおいて95%のシェアを誇っていたと言われており、その中でも70%を喜劇映画が占めていた。全映画会社、全配給会社が競って独自の制作チーム、コメディアンを擁していました。コメディアンの数だけでも何千人と、どれぐらいの数かわからないとなっていました」と、新野さんが当時の熱狂ぶりを教えてくれました。

上映を前に、「バニラさんの語りと演奏でアレンジするため、シーンごとにコマ送りのスピードを変速させる、デジタルならではの上映」を行うと新野さん。これは世界初の試みです。バニラさんからは、「キートンの特徴は石の顔、ストーンフェイスと言われる、無表情のままものすごいアクションを繰り広げること。キートンはスタントマンもいませんので、その辺りもご注目いただければと思います」とチェックポイントが伝授されました。それを聞いた清水が「今で言うと、トム・クルーズや千葉真一さんみたいですね」と例えると、バニラさんは「でも、キートンの方がすごいと思います!」と敬愛ぶりを爆発。これには清水もただただ平伏するのみでした。

清水が「こういう場所なんで、あまり大きな声で笑ったらあかんのかなと思われてる方もいるかもしれませんが、全然、笑ってもらって結構です」とリラックスムードを促した後、上映がはじまりました。

終始笑い声の絶えない上演を終えて、バニラさんが「家族の物語だと思うんですけど、活弁中にもご紹介しましたよう、キートンの家族も総出演してます」と解説をスタート。キートンの父親、実の息子、最初の奥さん、妹が参加していると聞いて清水は「お父さんも(劇中で)結構、脚上がってましたね」と思い返していると、新野さんから「お父さんも元々、芸人で。キートンはお父さんから鍛えられたんです」と追加情報をもらいました。

この流れで新野さんの解説コーナーに進みます。緻密な時代考証により銃の型へのこだわり、この作品で照明係りが専門職へ昇格し、いかに劇中で光の効果・演出が活かされているか、クライマックスのダイナミックな救出劇を展開する瀧のシーンでは実際にセットを作り撮影に臨み、キートンの身体能力が伺い知れるなど、聞くとまた観たくなるレクチャー内容でした。

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