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「深作欣二特集vol.1」で中島貞夫監督、奥山和由さん、鍋島壽夫さんが深作欣二監督の知られざる魅力をたっぷり語る!

2018年10月13日(土) レポート

アクションやバイオレンスなど数々の名作を手がけてきた深作欣二監督の代表作『仁義の墓場』、『いつかギラギラする日』、『北陸代理戦争』を上映する「深作欣二特集vol.1」。
10月13日(土)、よしもと祇園花月にて深作欣二特集vol.1『いつかギラギラする日』上映後の舞台挨拶に中島貞夫監督、奥山和由さん、鍋島壽夫さんが駆けつけ、深作欣二監督との思い出話に花を咲かせました。

中島監督は「今日の主人公、サクさん(深作監督)とは兄弟分の関係でございまして、かなり手こずったお兄さんでした(笑)」と挨拶すると、さっそくお客さんから笑い声が。鍋島さんは、深作監督とは『いつかギラギラする日』をはじめ、『バトル・ロワイアル』シリーズなどでタッグを組んだ名プロデューサー。「本当に思い出深い監督。もうかなり経ちますが、亡くなられたのは本当に残念」とふり返りました。奥山さんは「深作監督がいたから僕は映画業界に入ったといっていいほど」と、奥山さんが学生時代から続く深作監督と深く長い縁を告白。「深作監督を追って、一生を映画に捧げてきたので、思い出を通りこして人生そのもの」と感慨深げに語りました。

まず話題になったのは、『いつかギラギラする日』の製作秘話について。「赤字が大変なことになってしまって。この作品を手がけるまで映画業界で破竹の勢いだった制作会社が、この1本のために億単位の赤字を出して、解散になってしまった」とさっそく奥山さんから驚きのエピソードが飛び出しました。また、天候にもかなり振り回された撮影だったのだとか。鍋島さん曰く、「撮影が6月だったのですが、東京は梅雨だから北海道へ行ったんです。ところが、よりによって40年ぶりの梅雨が北海道に来てしまって(笑)。それで神奈川に戻ったんですが、今年のように1週間ごとに台風が来るような状態。それも原因で、億単位の予算オーバーとなりました」と、数々の苦難があったそう。

また、出演者についても「スネに傷のある役者さんが集まっているから、現場もイケイケだった」と奥山さん。物語のラストで登場するカーアクションでも、撮影のために借りていた車を次々と壊してしまい、すべて買い取りになったというダイナミックなエピソードも。当時を振り返り、「当時は、アクション映画はヒットしない時代だったけど、とにかくイケイケで突き抜けた」と奥山さん。MCを務めたケツカッチン・高山も、ラストのカーアクションはかなり衝撃だったようで「いったい、車が何台潰れてしまうんだと思うほど、ハラハラドキドキでした」と感想を。

『北陸代理戦争』を深作監督と共に手がけた中島監督も、思い出は尽きません。「普段は兄貴のような顔をするんだけど、兄弟構成でいうと僕は長男で、サクさんは三男坊だから甘えん坊のところがありました。だから、作品を撮る情熱は強烈ですが、段取りごとになると『長男がいいだろう』と僕に任せることがあった」と述懐。某シーンを撮影中、ある素材を撮影するのが厳しくなり、夜中の2時に「えらいことになったから、明日から撮影を手伝ってくれ」という申し出が。中島監督が「どうすれば」と尋ねたところ「このシーンと、あのシーンを撮って欲しい」と、突然頼まれたという仰天エピソードを明かしていました。「サクさんは、とにかく映画を撮るのに夢中なんです。みんなそうなんだけど、サクさんはその度合いが強烈だった。人への迷惑なんて考えない。でも、なぜだかどうしても憎めない兄貴なんです。腹も立つんだけど、あの人から言われるとやらざるを得ない」と笑顔の中島監督。奥山さんも、「めちゃくちゃなことを人に要求するんだけど、自分でも熱心に研究する人。絶対に逃げないし、男気のある人だった。とにかくいい男で、色っぽかったし男に優しい人なんですよ」と愛にあふれる深作監督の人柄を明かしました。さらには深作監督がガンになったときの驚きのエピソードも明かされ、ここだけでしか聞けない貴重なトークに観客の皆さんはもちろん、高山も引き込まれていました。
鍋島さんからは、深作監督の父親らしい一面も明かされました。深作監督のご子息・深作健太さんが小学3年の頃、鍋島さんが手がける映画に出演することになり、撮影していると柱の向こうでその様子をこっそり見守る深作監督の姿が。「優しいお父さんでした」と鍋島さん。

高山が「深作監督といえば、怖い厳しい方なのかなというイメージがありましたが、お話を聞いているととても優しい面がたくさんあったんですね。情が伝わってきます」としみじみ。
奥山さんは「松田優作さんが、サクさんを『湿感がある』と表現していました。男性なんだけど、どこか湿っているというか、濡れ感がいい、と。本人がいたらもっとわかってもらえるかもしれませんが、サクさんにはそのような色っぽさがありました」とも。

3人とも、人間味あふれる深作監督とのエピソードが尽きず、時間がいくらあっても足りないほど。そんな貴重なひとときは、ファンにはたまらなく贅沢な時間となりました。最後に、奥山さんから「深作欣二特集は、vol.3まで、3年間でやる予定です。来年は、たぶん(ご子息の)深作健太くんに来ていただこうと思っています」とうれしい宣言も飛び出しました。

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