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「明治維新から150周年 #1」では、新発掘フィルムもあり! 活弁が作品の魅力を広げるサイレント映画の上映

2018年10月13日(土) レポート

10月13日(土)、大江能楽堂にて「明治維新から150周年 #1」のプログラムが行われました。サイレント映画を弁士による活弁と生演奏で楽しむものです。

早速登場したMCの清水圭。1908年建立の大江能楽堂がいかに歴史ある建物かに触れ、今回の京都国際映画祭内で特集されているカメラマン・宮川一夫さん、マキノ雅弘監督、名優・長谷川一夫さんが同年代生まれという映画史プチ情報を挟み込んでいました。

ここで出演者の、活弁士・片岡一郎さん、パーカッション担当・鳥飼りょうさん、ピアノ演奏の上屋安由美さんんが招き入れられます。

早速、上映作品の紹介です。無声映画のフィルムやプログラムなどの資料の収集家としても知られている片岡さんが、ネットオークションで手に入れた新発掘のフィルム『照る日曇る日』。幕末動乱の江戸の町で開国派と官軍派の争いを中心に、男女の恋愛、生き別れの親子がの絡みと入り組んだ「本当は全5作で8時間ぐらいあるのが、8分に」濃縮したストーリー。なかなか複雑ため、事前に、片岡さんが人間関係を説明してから上演スタートです。

「今日が初演でございますから」と、不安を口にしていたのも何処へやら。すっかり自分たちの作品として上演し切った片岡さんたち。清水の第一声は、「お見事でございます!」。「演奏と片岡さんの活弁がなかったら、内容もわからなかったんじゃないかな」と絶賛します。鳥飼さんは「今朝、音合わせした」と、屋安さんとのうまくいってホッとした表情を浮かべます。

2本目は、昭和の大スター嵐寛寿郎出演の名作『鞍馬天狗』です。嵐寛といえば鞍馬天狗、鞍馬天狗といえば嵐寛という程の、自他ともに認める当たり役で、嵐寛の圧倒的なチャンバラが十分に堪能できる時代劇です。剣戟シーンでは、鳥飼さんのパーカッションが冴え渡ります。シーンの激しさが増すごとに、打ち鳴らされる音も激しくなっていきます。さならがロックを聴いているかのようで、ノッてきたのか、弁士の片岡さんもリズムに合わせて体を揺らながらの活弁を披露していました。

75分の長丁場を終え、「リハーサルゼロ秒とは思えない出来でしたね」と自負する片岡さん。清水は汗だくの片岡さんに気づき、「これだけやれば汗もかきますよね」と熱演ぶりに言及。そして清水が「いかがでしたか?」とお客さんに感想を求めると、1拍溜めてから大きな拍手の音が能楽堂内に響き渡っていました。

最後に片岡さんからお知らせが。活弁士を主人公にした周防正行監督作『カツベン!(仮)』で、主人公のライバル役で出演される高良健吾さんに弁士の実技指導をしていることを明かしました。「僕が弁士をやっていて10年かかったことを、高良さんは5分でできるようになりましたからね」と、見た目のカッコよさも才能も兼ね備えていて、さらには「性格もいい」と苦々しい顔で羨ましがっていました。映画は2019年12月公開予定で、清水が「今日、生で見た片岡さんの活弁の姿を、映画の中で高良健吾君が演じるという。来年を楽しみにして欲しい」とプッシュすると、「その前に」と片岡がさえぎり「来年の京都国際映画祭がある!」。すでに次回参加への意欲を見せていました。

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