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特別上映作品『ガチ星』舞台挨拶に江口カン監督と安部賢一さんが登壇!「いくつになってもやり直しはできる」作品に込めたメッセージ語る

2018年10月12日(金) レポート

10月12日(金)、イオンシネマ京都桂川にて、特別上映作品『ガチ星』が上映され、本編上映前に江口カン監督と主演の安部賢一さんによる舞台挨拶が行われました。

MCのアッパレード・木尾がおふたりを呼び込むと、客席からは大きな拍手が。まずは安部さんのキャスティングにまつわるエピソードに木尾が切り込みます。本作は、競輪発祥の地・福岡県小倉を舞台に、戦力外通告を受けた元プロ野球選手が競輪で再起を図る姿を追ったヒューマンドラマ。父が競輪選手で、自身も目指していたという安部さんだけに、オーディションは一発合格だったのでは?と思いきや、「じつは最初のオーディションで落ちまして…」と予想外のコメント。江口監督によると、「パッと見かっこいいですし、お父さんが競輪選手で本人も目指していたという話は聞いていたので、期待していたんですよ。ところが芝居のトーンがイメージと違って…かっこいいんですよ。僕が作りたかった主人公はこんなかっこいい人じゃない、ということで」とのこと。安部さんは、この役がダメなら役者をやめて九州に帰ろうと決めてのぞんだオーディションだったそうですが…。

その後、競輪学校へロケハンに行くことになり、そこで自転車に乗ってくれる被写体が必要になった江口監督。「そういえばあの人、目指してたな。連れていくか」と再び声をかけたということで、「連れていくだけでは悪いので、合間合間に演技を見ようか、と(笑)。そこでも、何度やっても違って…」。東京に戻る日の朝、監督に「もう一度、チャンスをください」と泣きついた安部さん。そこで3度目のオーディションが行われ、ついに役をモノにしました。なるほど「決まった瞬間は号泣した」というのもうなずけるエピソードです。

撮影前には、江口監督から「とにかく、みっともなく太ってくれ」と指示され、3週間かけて10キロの増量に挑戦。「1日6食ゴハン食べて、間食も詰め込んで。その間、競輪のトレーニングもしなくちゃいけない。それがいちばん苦労したことですね(笑)」と安部さん。もちろん、内面的な役作りも並行して進めましたが、こちらは「どうしようもないダメな男っていうのが、そんなに遠くないなと自分で思っていた(笑)。共通する部分がたくさんありましたから」。

作品が出来上がってみて、「結果的にはよかったなと思いますね」とは江口監督の弁。「3回目のオーディションぐらいから、何かが変わった感じがした。かっこつけなくなったというか、さらけだしてくる感じがして、これなら心中してもいいなと思いましたね」と振り返りました。

「この作品に込めた思いは?」との質問には、「見ていただいた方に感じていただくのがいちばん」としつつ、「自堕落な生活をしていた中年のおっさんですが、気持ちを切り替えた瞬間から何かが変わる。いくつになってもやり直しはできる、ということが描きたかった」と返した江口監督。「生きていると、自分がイヤになったり情けなくなったりもするが、そういう人にも見てくれる人、応援してくれる人がいる。すごく大きなメッセージが込められた作品だし、演者もスタッフも熱を込めた作品です」と続けました。

フォトセッションでは、ふたりが着用していたオリジナルTシャツにある文字「もがけ」に注目が。江口監督曰く、「もがけ」は劇中に何度も出てくるキーワードで、もともとの意味に加え、競輪用語ではゴール前で必死に漕ぐことを「もがく」と言うそう。「とにかく主人公にイライラする映画だと思いますが、最後まで見ていただければ『もがけ!』と言いたくなると思います」(江口監督)。安部さんは、「江口監督の長編一作目に主演させていただき幸せ。これから先もどんどん面白い作品を発表されると思うので、僕もまた監督の作品で、この場所に帰ってこられるよう頑張ります」と力強く語っていました。

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