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ロバータが煌びやかなドレスをまとって登場! プレミア度高いフィルムが上映された「シンデレラ・プリンセス特集」

2018年10月12日(金) レポート

10月12日(金)、京都駅からほど近いワコールスタディホール京都にて「シンデレラ・プリンセス特集」が上映されました。「シンデレラ」の影絵アニメ、サイレント映画を活弁士&ピアノ生演奏で楽しむプログラムです。

真っ赤なドレスに身を包んだMC担当のロバータが登場。注意事項などを説明し、「私、この衣装でMCをさせていただくんですけども」とやや苦しそうな口調で「息ができておりません」と、キュッとタイトなウエストラインの衣装による思わぬ影響を吐露していました。

次に、活動弁士・大森くみこさん、ピアノ演奏の天宮遥さん、解説担当でシンデレラコレクターのかわたまさなおさんが登壇しました。まずはご挨拶から。見すぼらしいシンデレラの衣装を着用した大森さんは「今日は私もシンデレラの衣装にさせていただいたんですけども」とロバータを横目に「before/afterみたいな感じでね」と羨ましそうに見つめます。「思ったより、この格好が似合っちゃって、自分でも村娘Aみたいだなと気に入っております」と大森さんは自虐ネタを交えて会場を沸かせていました。天宮は「チャックの都合でシンプルなドレスになってしまいましたけど……」と濁し、ロバータが「現代版のシンデレラということで」とフォローを入れながら会場をますます沸かせます。続いてはかわたさん。白雪姫、眠れる森の美女などの絵本を収集しているかわたさんは、2015年から展覧会を行っているそう。「持っている本をリスト化したら、シンデレラだけで1000冊ぐらいある」のがわかったという驚異のエピソードを披露しました。そんな川田さんも「4本珍しい「シンデレラ」の上映で、楽しみにしている」上映会がスタートしました。

「映画をはじめさせていただく前に」と大森さん。「今日活弁をはじめてご覧になる方もいらっしゃるかもしれません。昔、映画にまだ音が付いていなかった時代、日本の映画館では弁士による語りと生演奏でとてもにぎやかに映画を観ていたということなんですね。今日観ていただく映画はサイレント映画で、私が弁士を務めさせていただきます」と丁寧な説明を入れてから、スクリーンに映像が映し出されました。

1本目は、1922年のドイツの切り絵作家ロッテライニガーによるグリム童話版「シンデレラ」。2本目は、1954年、同じくロッテライニガーが手がけたシャルル・ペロー版「シンデレラ」。どちらも天宮さんによる柔らかなピアノのメロディと、1人で何役も声色を使い分け世界観を膨らませる大森さんの活弁でお客さんを魅了します。上映を終え、かわたさんの解説に入ります。「違いわかりましたでしょうか? 「シンデレラ」は世界で2つのバージョンがありまして」と異なる点を挙げていきます。グリム版では魔法使い、かぼちゃの馬車、ガラスの靴が出てこない、亡くなったお母さんが眠っている樹がシンデレラを見守っているなど所を紹介。靴のサイズに合わせて足を切る残虐描写が含まれることにも触れると、思わず大森さんも「そこまでロマンティックな展開のに、そこにはビックリした」と驚きを伝えました。続いてロバータが「深夜1時になってました」と、よく知る「12時」ではないことを指摘。「レアで、いろんなバージョンがあります」とかわたさんは「シンデレラ」の内容は多様性に富んでいると話しました。現代では一般的には水色のドレスを浮かべる人が多いが、「1800年代は、ロバータさんが着ているような赤やピンクなんですね。着用されているのは、1858年、アメリカの絵本の中の1枚の絵から忠実に再現したものです」と解説し、同時開催中の「100年前のシンデレラ展」として展示している絵本で確認できるとのこと。一方、シャルル・ペロー版は、ディズニー映画がこちらを基にしたことで広く知られたと説明しました。

3本目は、1953年、イギリスのエリザベス2世戴冠式の記録映像です。観終えてかわたさんは「この馬車、まさしくシンデレラ!」と、リアルプリンセスが乗っていた姿を思い返します。ロバータは「特に先ほど「シンデレラ」を観た後なので、重なるというか。白黒でもゴージャスさが伝わる」と興奮気味に感想を述べました。大森さんは「お若い頃のエリザベス女王をはじめて観たので、なんてキレイなんだ。そして、なんとスタイルが良いんだろう」と、女性ならではの目線で映像を楽しんだ様子です。天宮さんは「応援している待ちの方々と、お付きの方々と総勢何人ぐらいなのか」と画面上にあふれる人の洪水から、当時のフィーバーぶりを感じ取っていました。

4本目はアニメ界のプリンセス、ベティ・ブープが主人公の短編『ベティ・ブープ 鏡の国訪問』『ベティの日本訪問』『ベティの猫騒動』『ベティのシンデレラ』の上映です。『ベティのシンデレラ』は、大森さんが活弁でベティお馴染みのセリフ「ブプッピドゥー」を交え愉快な雰囲気に。同作では黒髪のベティがブロンド姿という超レアもので「見たことのないベティちゃん!」とロバータ、川田さんも「セクシーなシンデレラはなかなかないですよね」と言うと大森さんが、「気づいたんですけどベティちゃんバージョンだけ、ドレスの裾が透けてるんですよ」とセクシー仕様な部分を報告。するとかわたさんが「もしかしたらストッキング、ワコールさんかもしれないですね」と場所を交えたジョークを飛ばし、場内が笑いに包まれました。

ここでロバータが「色んなタイプのシンデレラを観てきましたが、かわたさんはどこに魅力を感じますか」と疑問を投げ掛けます。かわたさんは「グリム童話版が大好きで。亡くなったお母さんが最後まで(シンデレラを)見てくれているのが素敵」と声を弾ませていると、すかさず大森さんから「グリム版結構怖いですよね?」とツッコミを受けます。「悪いことしたら罰が当たるよっていうのはあるんですけど」と、ややトーンダウンしながらもかわたさんはシンデレラ愛を口にしていました。そして、かわたさんは「100年前はこうやて観られていたんたと思います」と天宮さんのピアノ演奏と映像のマッチングを賞賛、お客さんからも自然と拍手が巻き起こっていました。続けて、コレクターかわたさんの絵本収集きっかけ(デザイナー仕事の資料として集めたのがはじまり)、日本でシンデレラは坪内逍遙の翻訳によって「おしん物語」として紹介されたエピソードが語られました。

5本目は1923年のドイツ映画で、グリム版とペロー版が合わさったようなもので、これまでの「シンデレラ」とは一線を画すユニークな内容。大森さんも「面白いところでは、笑いながら観てください」、天宮さんも「思い切って楽しんでいただきたいと思います」とリラックスムードを高めて上映スタートです。「いかにも言いそうな顔をしている」として大森さんが継母に「関西弁」を充てる意外な演出に、お客さんからは笑い声が漏れます。かわたさんも「関西弁のシンデレラ、はじめて聞きました」と驚嘆。天宮さんは「こんなに笑っていいんでしょうかね、シンデレラでね」と述べ、「建物ぶっ壊す過激な魔法使い」と独特なキャラクターの面白さにも触れていました。「たくさんの人に観てもらいたいバージョンでしたけども、ツッコミどころ満載でしたね」とロバータが締め括ります。

全作品の上映を終え、ロバータから感想を求められた大森さんは「シンデレラに、こんなに色んなバージョンがあるんだと知った」とその奥深さが、天宮さんは「王子様がシュッとしてるのは、世界共通なんだな」というのが発見であったと語りました。ロバータは「100年前の映像が、活弁、ピアノ演奏で2018年に蘇る。これこそ引き継いでいっていただきたい。みなさんもこの魅力を広めていってほしい」と胸の内に広がる感動を熱く述べました。そして、出演者より来場者のみなさまに参加してくださった感謝を伝え、イベントは終了となりました。

会場入り口すぐのスペースには、ガラスの靴が試し履きできるフォトスポットが設けられており、訪れた人もプリンセス気分を味わえるようになっています。そちらで記念撮影する方や、ドレス姿のロバータを撮影しようとちょっとした撮影会の盛り上がりを見せ、イベント後も大にぎわいでした。

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