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極私的“京都”を切り取った撮影秘話を明かす! 「京都を撮ること、毎日を記録することー「私のきょうと記録」クロストーク」

2018年10月12日(金) レポート

10月12日(金)に京都交際映画祭2018の会場のひとつ、元淳風小学校で「京都を撮ること、毎日を記録することー「私のきょうと記録」クロストーク」が催されました。

京都のキーパーソンたちが、ハンディカメラで自分たちなりの“京都”を収めたドキュメンタリー「私のきょうと記録」。撮影者は、染色作家・吉岡更紗さん、和菓子老舗店「鍵善良房」の今西善也さん、アンティークショップ店主・永松仁美さん、編集者・髙橋マキさんです。後に控える上映プログラムを前に、4人によるクロストークで作品イメージをお客さんに伝えます。

司会進行役として高橋マキさんが登場。高橋さんは、『京都カラスマ大学』という京都の文化・伝統・環境・食・芸術などジャンルレスな「無料の学びの場」づくりをされています。同大学が今月25日で10周年の節目であるのを話し、集まったお客さんに向け「今日はみなさん歳に関係なく、大学生です。学ぶ気持ちを持っていただきたいなと思います」と呼び掛けます。

永松さん、吉岡さん、今西さんの順に入場。まずは自身が担当した作品について「自分の生活、自分の京都。本当の生活を見せたいなということで、夏限定だったんですけど、自分の京都を撮らせていただきました」(永松さん)、「(永松)仁美さんから急にカメラが渡ってきて(戸惑い)。勝手が分からず、撮るまでにエンジンが掛かりましたが(去年の映画祭で上映された)仁美さんのを観て割と自然に撮れました」(吉岡さん)、「(吉岡)更紗ちゃんからカメラが来たのが1月10日ぐらい。何を撮っていいのか分からなくなっていたので、そこから塩漬け状態になっていたので節分ぐらいらはじめました」(今西さん)、「3ヶ月ごとに順番に回ってくるというプロジェクトでした。わたしは仁美ちゃんと同じシーズンの夏。(永松さん作品と)同じシーン、人が出てきたりチラチラと交差させてるとこもあるんですよ。3回ぐらい観て欲しい」(髙橋さん)と、それぞれが語りました。

この企画を考えたのは、京都国際映画祭アートディレクターのおかけんたです。アイデアを持ちかけられたのは松永さん。映画祭での上映作品が京都以外の“外から来る”ものが多いということで「せっかく京都ですんのやったら、地元の人にカメラを持たせて、地元の人の言葉と声で物作りしたらええやん!」と松永さんがまずはおかに提案したのがはじまりでした。1ヶ月後、おかから「通ったよ話! 良かったな。言い出しっぺ、あんたやで」ということで松永さんは撮影に取り掛かることになったんだそう。

次に、それぞれのテーマの話に。松永さんは生まれ育った祇園街が舞台で「ストーリーを考えた時、自分の親が連れてってくれた場所、思い出の場所だったりがどうしても(記憶に浮かんで)残ってて」と極めてプライベートな視点であると話します。吉岡さんは染色家という職業柄、「10月頭(撮影スタート)だったので、秋の色を撮っていこうかな」と色にまつわる人たちがメイン。お正月飾りを作る人、お花屋さんと、そこに色があるのを探しながら進めたそう。今西さんは「季節を追うお菓子作りを仕事にしている」ことから自分自身をモチーフに。「意外とみなさんが知らないような所を撮れたらいいな」と心を決め、「定点カメラで長いこと撮ってたら面白いもの撮れるかな」と自ら知られざる“和菓子職人の素顔”を切り取ったと言います。司会も務める高橋さんは夏の京都をカメラに収め、他作品では入れているナレーションを外し「にぎやかさ」重視の作り方にしたと語りました。そして撮影中は、「映像は全体の粗もすべて映る。映像って、嘘をつけないんだな」(松永さん)、「自分が求めているピントに合っているのか、ピントがどこに合っているのかわからなかった。(撮影後、)オフにするのを忘れていたり」(今西さん)、「いい画が撮れたなと思ったら、録音ボタンを押せてなかったことが3回ぐらいあった」(高橋さん)、「自分の声を、作品を通して聞くと気持ち悪いって思った(笑)」(吉岡さん)など、新たな発見や失敗がたくさんあったと明かしていました。

最後に見どころをアピールします。松永さんは「京都って街が、いかに近くに自然があるかを感じられたのでそこを観ていただけたらな」と述べ、撮りながら父親の存在も浮かんで来たそうで撮影場所は「小さい頃から一緒に散歩してたんで」とかなり思い出深い仕上がりとのこと。吉岡さんは「出演許可をこの間もらった」家族の姿も写り込んでいて「季節のこういう色が、こういうものでできてます」というのがうまくストーリー構成に活かされていると満足げ。今西さんは「美味しいお菓子がいっぱい」とシンプルに述べ、笑いを誘います。高橋さんは「『夏の扉』というタイトルにしたんですけど」と切り出し、夏の京都は扉が開いている所が多かったと撮影を振り返りました。カメラを持ちながらドアを開ける動作を「思い通りにできなくて、何回かやり直したシーンがちょこちょこと入っている。意外と扉開けてへんやんと思いながら観ていただきつつ、最後は扉を閉めるように努力したので納得してもらえたら」とちょっぴり弱腰ながらも意図を説明しました。

会場には映像編集を手伝ってくれた友人の方々も参加、さらなる制作ウラ話も披露され終始、にぎやかな空気に包まれたトークイベントとなりました。

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