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日本を拠点に独自の作品を発信するアーティストの素顔に迫る!『ミハイル・ギニスはなぜ売れないのか?』舞台挨拶

2018年10月12日(金) レポート

10月12日(金)、イオンシネマ京都桂川にて、京都国際映画祭特別招待作品『ミハイル・ギニスはなぜ売れないのか?』が上映され、吉野匡志監督とミハイル・ギニスさんが舞台挨拶に登壇しました。

MCを担当するのはロバータ。まずはギニスさんから「こんにちは。今日は来てくれてありがとうございます」と挨拶が。吉野監督も「104分という決して短くない映画に、みなさんの貴重な時間を使っていただき、ありがとうございました」と感謝を述べます。

続いて「なぜギニスさんのドキュメンタリーを撮ることになったのか」という質問を受け、「プロデューサーの奥山さんから電話があり、『ミハイル・ギニスっていう変わったデザイナーがいるんだけど、ドキュメンタリーを撮ってくれないか』と言われたんです」と明かした吉野監督。実は、その時点ですでにタイトルまで決まっていたそうですが、実際に会って見ると非常にインパクトがあり、「なぜ奥山さんが撮ってほしいとおっしゃったのかがわかった」そう。「表面に見えているものより、その奥にあるものが彼の大事なエッセンスである気がして、その部分こそが映画になると瞬時的に判断されたのかな、と。僕も『気になる』『何を考えているんだろう』という気持ちになった」と振り返りました。

2年にわたった撮影では、「最初はどうしても『得体がしれない』というところから入るので、一緒にモノづくりをしていったらもっといろんなことが共有できるのかなと思い、途中で人にカメラを預けて、一緒にモノづくりをした」(吉野監督)というエピソードも披露。「そういう過程を経て、彼のクリエイティビティへの意欲や、何を大事にしているか、そして人間味がわかってきました」と話します。

ロバータが印象的だったという、ギニスさんと奥さまのケンカのシーンについては、吉野監督が「半分はケンカしてるので、ケンカしてないところを撮るほうが難しいぐらい」と笑わせつつ、「ケンカの理由も、なおのおのの文化で大切にしているものが対極にあるがゆえだったりする。単純なケンカではなく、見ていて考えさせられるケンカでした」とコメント。一方のギニスさんは、「ケンカするのはあんまり好きじゃないんですが…僕の価値観は愛や平和なので」と苦笑いを浮かべながら、「(映画で)あのシーンを見て、こういう過程を経て、前へ進めるものなんだなと思いました」としみじみ語っていました。

この日ももちろん、自身がデザインしたスカーフを身につけて登場したギニスさん。「未来へのメッセージを込めた作品」とのことで、プライベートでギニスさんの作品を愛用しているというロバータも、「オススメです。長く使えますよ」とニッコリ。現在は秋冬ものの制作に取り組んでおり、ポップアップショップを開く予定もあるとのことなので、気になる方はぜひギニスさんのウェブサイトでチェックしてみてください。

最後に「見えない壁にもがきつづける姿が映し出されていましたが、その“壁”とはなんだったと思いますか?」ときかれたギニスさんは、「日本の文化をすべて受け入れて、自分の中でフィルターを通して、デザイナーとして、人間として成長することだったのかな」と回答。フォトセッションを終えたあとは、「もし質問があれば答えますので声をかけてください」と笑顔で呼びかけを。吉野監督は、「ドキュメンタリーの面白さは、知らなかったこと、ふだん意識していない部分を映画の中に込めること。本作を通じて、みなさんの中の無意識に少しでもさわることができれば、無意識を意識に変えるような経験をしていただければ、監督として光栄です」と締めくくりました。

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