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大江能楽堂で行われた『明治維新から150周年#2』で、サイレント映画の名作を上映!

2018年10月14日(日) レポート

10月14日(日)、大江能楽堂で行われたのが、『明治維新から150周年#2』です。1920〜30年代には、幕末から維新の時代を取り上げた作品が数多く製作されていました。日本の映画創世記に作られた貴重な名作を一気に9本上映。活動写真弁士の坂本頼光さん、演奏の鳥飼りょうさんが作品を盛り上げました。

まずMCの清水圭が登壇。解説の羽鳥隆英さん、坂本さん、鳥飼さんを呼び込みます。羽鳥さんは今回のプログラムの特徴として、上映される映画は、明治維新から60年経ったころ、京都で撮られていることを話し、幕末のことを知っている人がまだ生きておられたころ、と説明しました。

坂本さんは、一気に9本はこれまでにやったことがない、新記録と話すと、清水が「来年あたりギネスでも呼んできませんか?」と笑いを誘います。坂本さんは「舞台は京都で勤王か佐幕か、主役も同じ人がやっているものもある」と今日は同じような話が多いと話しました。

鳥飼さんは、今日のイベントでピアノを演奏することについて「西洋の楽器で時代劇に取り組むので、バランスを取りながらやっていく」と語ります。今日は朝6時からステージのために予習していたと清水が明かすと、会場が笑いに包まれました。

清水は「6本見ていただきますが全部で10分」と話し、まばたきしないようにと注意を促します。坂本さんの『おもちゃフィルムで見る幕末から維新へ』の声で、まずは『坂本竜馬』、そして『剣士桂小五郎』、『新選組隊長近藤勇』、『鞍馬天狗地獄の門』、『月形半平太』、『明治元年』と次々にフィルムが回されます。役者や作品についての説明、当時の状況などをはさみながら活弁を続ける坂本さん。途中、特に短い作品で「ここまで!」と叫ぶと、会場は笑いに包まれました。

まず6本の上映が終わると、「駆け足過ぎてすみません」と坂本さんは苦笑い。そして、これだけ短いおもちゃフィルムでもおもしろいと思うと話し、「全部やりたいと思うけど、そのフィルムがない」と残念な表情。羽鳥さんは映画会社が保存していないので、家庭に残ったものを復元することで我々もその一部を見ることができている、と説明しました。

そして「これまではウォーミングアップ、次は少し長めのものを」と、続いては『地雷火組』が流されます。坂本さんは「本当はもっと長い作品」と話したあと、見ているうちに桂小五郎に腹が立ってくると思うと説明。その主役の見事な食われっぷりについても話すと、会場は笑いに包まれました。

上映後、坂本さんの「桂小五郎が捕まらなければ…」の声に、会場からは再び笑いが。羽鳥さんは、この作品が公開時は三部作だったことを話し、力のあるころの日本映画と解説しました。

次は『弥次喜多鳥羽伏見の巻』。坂本さんが、先ほどと同じ河部五郎と大河内伝次郎が出演していること、コメディタッチの作品であることを説明。加えて、この作品も三部作で今回はその第三部を上映することを伝えました。羽鳥さんが「てなもんや三度笠の大先輩」と話すと、「動きのギャグです」と坂本さんも同意します。さらに坂本さんは、大河内伝次郎の喜劇的演技について触れ、「大河内が濃い作品です」と説明してから上映がスタートしました。

羽鳥さん、坂本さんの説明どおり、そのコミカルな動き、今でも通じるオチに、会場からは何度も笑いが起こります。上映後「時々やってて心が折れそうになりました」と坂本さんがつぶやくと、会場は再び笑いに包まれました。

最後は上映時間約30分の『一殺多生劍(字幕修復版)』です。この作品を撮った伊藤大輔監督が生誕120年、お祖父様が幕末の上野の戦争に加わっていたそうで、幕末に関心が深い方だった、と羽鳥さんが解説。坂本さんは、市川右太衛門さんの主演で娯楽性、メッセージ性の両方が含まれた作品であると話しました。この作品は伊藤大輔監督の傑作であり、近年発見された際、フィルムの傷みが激しかったものの、復元によって上映可能になったという説明から上映が始まりました。

終了後、羽鳥さんは、素晴らしい作品、今誰かにリメイクしていただきたいと期待を込めてコメント。坂本さんは9本やりきって、安堵の表情。「今日は初めての作品がいくつもあった、いい経験をさせていただきました」と振り返ると、拍手が起こります。鳥飼さんも「疲れました、頼光さんの語りに助けられました」とこちらもホッとした様子を見せると、再び拍手が起こりました。最後に清水が京都国際映画祭2018の大江能楽堂でのメニューがすべて終了したことを話し、来年もまた大江能楽堂で様々なプログラムを展開したいと告げると、会場は大きな拍手に包まれました。

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